工藤歯科BLOG

2012年2月14日 火曜日

大型歯科医療法人と小規模個人開業医

 
 
先日テレビ番組で歯科医院の選び方などがテーマで国内最大規模の大型歯科医療法人の理事長が出演されていました。
 
この歯科医院は、国内外を合わせて数十件、スタッフ総勢1000名規模とのことで歯科医院としては驚異的です。
 
理事長の先生は歯科関係の雑誌でもしばしば経営の点からコメントを載せておられ歯科界でも知られた先生です。
 
しかし患者さんからみてこういう大規模な医療法人の歯科というのはどうでしょうか。
 
私個人は以下の点でこのような大規模歯科には批判的な立場です。
    長期に通院していると担当歯科医がしばしば変わってしまうことにより、患者さんが振り回される・迷惑を被る可能性がある。
    提供する歯科医療に責任をもちたい、歯科という仕事を全うしたいと考える歯科医は分院拡大をしないものである。(私見)
 
    :自分もかって大型の医療法人歯科に勤務していました。経験の浅い歯科医の立場からすれば、大きい所は多くの歯科医がいるために色んな知見を広めて勉強になる点がある一方、勤務歯科医は年齢層~経歴も様々で、治療方針や、考え方もまちまちでした。もちろん「同一法人内ではなるべく統一した治療方法・診療コンセプトで」ということを目指してはいましたが実際はできていませんでした。また10年以上長く通って来ていた患者さんのカルテは平均して3年くらいで担当医が入れ替わり立ち替わりの状態でした。勤務歯科医というものはもともと将来的には独立開業を考えていたり、スキルアップのために数年単位で勤務先を変えることがよくあるのが実情です。
 また勤務歯科医が歩合給の場合、治療点数が多いこと、自費売上が多いことが至上命題になることがあり(本来あってはならないことですが)不必要な過剰治療がされるリスクもあるかもしれません。
 
    : 自分は海外の歯学部大学院に2年以上留学され各治療分野の専門医として海外で認められて帰国されている歯科医に指導を受けて研鑚をしていますが、そのような海外で知識と技術ともに認められた歯科医というのは私の知る限りでは小規模個人開業の先生ばかりです。
米国歯科界で非常に権威のある歯科学会の一つは、学会員が分院展開したというニュースが入るとその歯科医は正会員の資格を剥奪されるそうです。
この事実は何を物語っているのでしょうか。
 
全くの個人的見解ですが、結局、分院展開を多数する歯科医というのは、経営的な観点・・不労所得を目当てではないかと考えられます。
 
しかし例外があります。限られた数とはいえ歯科需要はあるが将来的に人口減少が止まりそうにない地域があるとします。その地域の歯科医療需要を満たすために都市部の本院の収益でリスクヘッジしながらあえて採算は合わないけれど僻地で、都心部と同レベルの歯科医療を提供するとしたらそれは素晴らしいことだと考えられます。しかし多くの分院をかかえる大型歯科医療法人は、えてして歯科医院過剰といわれるような都会や住宅地の中の、人口が非常に多いところにあるようですね・・。
 
 大きい医療法人の歯科医院であると数年ぶりにいくと担当医がいなかった ということがありえます。小規模個人開業の医院であれば院長か副院長くらいしかいませんから担当医師の変更に振り回されるということが起きる可能性も低いでしょう。
 他方個人開業の先生が偏った分野の治療オプションしかない先生だと、この治療はできないので他にいってくれということもありえます。大きい法人だと、歯周専門の歯科医 入れ歯クラウンブリッジ専門歯科医、インプラント歯科医 根管治療専門医 口腔外科専門 矯正専門医など多くのスタッフがおり幅広い診療が受けられるかもしれません。

  自分の中で最も良くないだろうと思うのは、「小さな分院を多数」かかえる大規模法人の歯科医院です。なぜかというと、そもそもその医院の成り立ちが「開設者の不労所得目当て」ですし医院長も「雇われ」なので短期間で代わる可能性があります(あくまで私見です)。

しかしなんといっても、結局歯科医療の質、結果を左右するのは、担当歯科医の技術、診断力であり、その歯科医の立場がどうかということは無関係です。
このあたりが、歯科医たるもの生涯研鑽 ということになるのだと思います。

2012.3.3改


投稿者 工藤歯科