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予防歯科
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予防歯科について
治療しても治らない・治療してもまた悪くなる。
治療したはずなのに、また同じところが悪くなることを経験したことがある方は多いと思います。「なぜ?」と思われることでしょう。
歯科医師が治療を失敗したのでしょうか?それとも患者さん自身がよく普段の手入れ(歯磨き)をしなかったせいでしょうか? それとも治療しても悪くなりやすい特異体質なのでしょうか? この問題は、虫歯の場合と、歯槽膿漏の場合、歯の神経の治療の場合、などそれぞれに分けて考える必要があります。
虫歯の場合
虫歯の場合は、例えば、虫歯を削ってもらって、詰め物をしたのに、また虫歯ができてやりかえなくてはならなくなった、
つめものがとれてしまった、痛みが出た、などでしょうか。「虫歯が新たに生じたこと」がやりかえの原因ならば、
患者さんの普段の歯磨きに問題があったことは否めないでしょう。
ただ、治療が快感で何度でもやりたいなんて人は聞いたことがありません。ではどうすべきでしょうか?
虫歯の場合にはきちんと治療してもらうことと、 同時に虫歯を作ったのはもともと自分の歯磨きに足りないところがあったためですから、歯磨きの仕方を改善し、 きちんと実行できているか少なくとも一定期間チェックをしてもらうべきです。
そうして初めて問題の解決になりえます。 虫歯だけを治療しても、虫歯を作ってしまうような歯磨きの仕方を正さない限りはまた数年で虫歯ができて治療を要するようになるのは当然なのです。 では良い治療を受けるにはどうしたらよいでしょうか?
患者さん自身に、よい虫歯の治療であるかどうかを見分けるポイントをあげるとすれば・・・
未熟なために手際が悪くて時間がかかるのではなく、 精密に口の中でミクロ単位の治療を行うには丁寧にやればやるほど、熟練医であっても本来は、ある程度時間がかかるものなのです。
この点で良い治療は、長くもつ良い家を作るのと似ています。工期を短縮していい家ができることはないのです。費用も建築物と似ていますが、 よい家をつくる職人の工賃が落とせないように、長く持ついい歯をつくりたいならば、かけられるならばですが、費用はかけた方がよいです。
歯についても、安くて質もよいというものはないのです。
これをあえて言うのは、対象が口の中の小さな歯のため、本人で確認しにくいからです。また実際にどのように改善したのか確認させてもらう必要があります。
見た目にも改善していないようでは長くいい状態を維持できるわけがありません。これが出せないようではどのような治療がなされているのかわかりません。

治療は最善の状態で行われたとしても、完全はありません。 完全とは治療前の健康な状態こそ完全なのです。最善の治療が行われたとしても、人工物ですから、口腔内という熾烈な環境では、 壊れたりはずれたりすることも起きるかもしれないのです。
よいことばかり言う歯科医師は用心した方がよいでしょう。

これこそが最も大切なことです。セルフケア(普段の歯磨き)はわずらわしいものです。
しかしこれをしないで口の中の健康は維持できない以上やるしかありません。
治療をすればするほど儲かるシステムの中で、 予防法をしっかり習得させる歯科医師は、いわば自らの売り上げを犠牲にしても患者さんの口腔内の改善を目指しているという、いわば「真の歯科医師」であると思います。
患者さんにしてみれば、「早くて痛くない」「すぐ終わる」のがいい歯医者の条件かもしれませんし、治療は快適に受けられるに越したことはありません。 しかし、最も大事な、「長くいい状態を維持するような治療」とはむしろ、決して「早くはない」ことが多いと考えています。
歯槽膿漏の場合
これについては、歯科医師の治療や技量よりは、患者さんの日々の歯磨きの方が大きく関わっています。
もちろん、歯槽膿漏で悪くなった方に対して、その原因や悪くする因子、などの説明や、生活指導、歯磨き指導、適切な治療の選択と実践などは歯科医師の力量の問題です。 しかし、歯科医師や衛生士だけが頑張っても患者さんにやってもらうべきことをやってもらわなければ、効果はゼロに等しいでしょう。
その意味で患者さん本人の努力が治療の成功に大きく関わっているといえます。
歯槽膿漏の場合は、歯科衛生士さん、歯科医師、患者さんの3人が 同じ目的に向かって努力して初めて治療の成功が得られるものです。しかもいい状態を維持したい、という患者さんの熱意と努力が最も大きいウェートを占めているといえます。
また、歯槽膿漏には、ハイリスクの方とそうでもない方ではっきりわかれます。ハイリスクの方は、食生活を含めライフスタイルの改善を必要とするでしょう。 簡単ではないです。しかし歯を直したい、残っている歯をいい状態で長く使いたいという熱意があれば、きっとうまくいくでしょう。
又、患者さん本人の歯磨きの質がともなわないならば、早々に問題が再燃します。定期的に通っても患者さん自身の歯磨きについて、 指導がないならば意味はないでしょう。定期的に通い、クリニックにいる時だけ口の中がきれいになったところで、クリニック以外の日常が99%ですから、 1%どれだけきれいにしたところで、99%の方の質の方で病状は左右されるわけです。
本人の歯磨きの質をよくすることと、 もっといえば患者さん自身に「歯は自分で大切にしなくてはいけないと思ってもらうこと」、あと、「歯磨きがしやすい環境に整えること」、これが歯科医師の仕事です。
先ほどのように定期的にクリーニングをすることよりは、患者さん自身に歯磨きの仕方をしつこく教えてくれることの方がずっと意味があることです。 口腔内のセルフケアの徹底と身体全体のアンチエイジング(抗加齢)ということがキーになります。
歯軋りについて:きれいに磨けていても歯軋りとライフスタイル(不規則な睡眠・食事)のために進行していく場合もあります。 歯軋りの改善は無意識のことのために非常に難しいのは確かです。
睡眠中に勝手にすることをコントロールすることだからです。しかし、歯軋りにもいくつか効果の期待できることはあります。 まずは、歯列の乱れや、かみ合わせに問題がないことを診査します。明らかな問題が見つかればまずその噛み合わせの治療をすることです。
かみ合わせには生理的な許容範囲があります。全身とのバランス、咬合診査など、いろいろと診査して、情報を集めてから治療を決定します。 一方歯軋りはストレスの開放になっているとされています。そこで効果があるのが自立訓練法です。 歯軋りをしないでリラックスして睡眠するというイメージングをすることと、普段、日中にもなるべくかみしめないように注意するのです。
ストレスマネージメントも必要です。基本的には、寝る前10分でも全身をストレッチしたり自立訓練法をすることが深い睡眠を促し、歯軋り予防に効果があります。 また寝るときにマウスピースをつけてもらうこともあります。歯軋り自体は、自覚がまず第一歩です。
その上で本人の自律訓練が効果を左右します。 歯軋りをしていても問題の生じない方ももちろんいます。しかし長い目で見れば歯だけでなく、顎の関節なども悪くしていく歯軋りは馬鹿にできない問題です。
歯の神経をとった歯がまた痛くなった場合
歯の神経をとられたのにどうしてまた痛むのか不思議に思われる方もいます。神経がなくなれば痛まないはずということでしょうか。
歯の神経はとられても、痛くなるのは、歯の根の周りの組織にある神経が痛みを伝えるからです。歯の神経をとる場合には歯の中にある神経だけをとります。 当然歯肉や、歯の周りの組織の神経はもとのままです。
歯の神経をとっても、神経をとる原因となった、虫歯の菌をしっかり消毒して感染をとっていなければ、 歯の中に生き残った虫歯の菌は、今度は歯の周りまで感染を広げようとします。歯の周りの組織がそれをくいとめようと免疫反応・炎症反応を起こします。 これが痛みや腫れとなってあらわれるわけです。
歯の神経をとる治療は、日本では、残念ながら、世界から見れば相当質の悪い治療が平均的になされているのが現状です。 歯の神経の治療の成功率は5割を切っているかもしれません。 歯の神経の治療はもともと欧米先進国ではスペシャリスト(専門医師)がいるように、簡単ではなく、専門性の高い治療分野なのです。 費用も日本の保険治療代の10倍~20倍かかります。
日本の保険治療では歯の神経の治療費をべらぼうに安く設定しており、 そのため歯科医師は費用時間効果で、こんな安い値段ではこのくらいにしか時間とエネルギーをかけられないということで、 時間もなるべく短くして不採算を小さくするようになり、丁寧に正確にやるのではなくなり、それだけ質の悪い治療がなされるのが慣例になってしまっているようです。
しかし、歯の神経の治療には世界的に専門医の間でこうすべきであるという基準(コンセンサス)というものが明示されています。 そのコンセンサスにのっとった治療が現代の医療水準というもので、これに従うならば治療成績は80-90%になって当然なのです。
日本ではこのコンセンサスから見てやはりプアな治療法が行われています。
歯の神経をとる治療は、なるべく無菌的に行うことが必要です。お腹の手術をするのに、医師が消毒した手袋をつけ、マスクをして、周囲には布をかけて、なるべく無菌的にお腹をあけるように。
歯の神経をとる処置も、治療する歯以外には口の中のためゴムのマスクをつけて、周囲の歯や粘膜、歯肉、舌と隔離して なるべく無菌的に行われなければならないのです。
なぜならばもともと歯の中の神経は無菌であり、 治療とは虫歯の菌に感染した歯の神経をもとの無菌の状態になるべく戻すことだからです。
歯の神経をとって治療したはずの歯がまた腫れたり、痛んだりする場合の原因は患者さんのせいではなく歯科医師の責任で歯科医師が無菌的な治療に失敗したからです。 ただ例外があります。
神経をとった歯はそうでない歯と比べ、構造的にこわれやすくなっていることです。歯が割れてしまうことがあるのです。 割れてしまって痛くなる場合は歯科医師の責任とはいいきれません。
また、同じ歯を何度も治療している場合にも、それだけ治療の成功率が下がっています。
最善の努力をしても無理なこともあります。 しかし、そのようなケースは少なく、大方は単に、歯科医師が無菌的に治療する努力を欠いている場合がほとんどであるようです。
まずは歯の神経の治療をされる場合には、時間をかけて現状を説明してくれること、ゴムのマスクをつけて治療してくれること、顕微鏡を使って治療してくれること、 この3つが行われるならばある程度信頼できると思われます。
「歯の根の中の消毒をします」といいながら、ゴムのマスクを口につけずに、すぐにとれるフタで、またすぐに済むような治療ならば、 そこでの治療は非常にリスクが高いでしょう。
歯の神経の治療の場合には、患者さんはある程度長時間にわたり口を開け放しにしてゴムのマスクをつけられて、 「顎は疲れるし苦しいし、つばもたまるのにうがいもできないし大変だな」と思うくらいの方が予後は安心です。 すぐに治療が終わって楽である場合は、その歯がずっと問題を起こさないでいくかどうか逆に心配です。
しつこくいいますが、歯の神経の治療は無菌手術であり、ゴムのマスクをつけてもらうこと、顕微鏡で確認しながら治療してもらうことです。 これが歯科の先進国であるスカンジナビアやアメリカの歯の神経の治療の専門家に支持されている方法(コンセンサス)だからです。





